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祝 グランプリ受賞!『Mokpo, Gangster's Paradise』



Reported by 月原万貴子(月子)
2004/3/26受領

 今年も行ってまいりました! ゆうばり国際ファンタスティック映画祭。15年目を迎えた今年、資金難のため、存続か否かで揺れた映画祭でしたが、予算は縮小なれど、とにもかくにも続けていくことが決定し、コアなファンの私といたしましては、ホッと胸を撫で下ろした次第だったわけです。

 さて、2年前に『猟奇的な彼女』がグランプリを受賞したことで、韓国映画ファンの間でも注目されるようになったヤング・ファンタスティック・グランプリ部門ですが、今年のグランプリはキム・ジフン監督の『Mokpo, Gangster's Paradise(原題:木浦(モッポ)は港だ)』が獲得いたしました。またも韓国映画の快挙です。上映前の舞台挨拶、上映後のティーチイン、受賞後の記者会見、そしてパーティー会場で直接といろいろ監督のお話を聞く機会がありましたので、印象的だったエピソードをいくつか紹介させていただきたいと思います。


キム・ジフン監督

その1.3つのプレッシャー

「私は短編ではどちらかというと作家主義的な作品を撮っていました。それが長編デビュー作にコメディを選んだことで、商業主義だとかつての仲間から非難を受けました」

チャ・インピョさんはテレビ・ドラマではスターですが、これまで出演した映画はすべて大コケです。彼の主演作だということで資金集めには苦労しました。完成までに製作会社が3度変わったほどです」

「やっと決まった製作会社、企画時代はこの数年ヒット作が無く、これまでコケると会社の存続にかかわるので、確実にヒットさせて欲しいと言われました」

その2.木浦(モッポ)の人々

「私はこの作品のために、脚本の準備段階から約2年半、木浦(モッポ)に住みました。最初、木浦(モッポ)の人たちは、この町を舞台に映画を撮りたいという私をまったく信用してくれず、まるで詐欺師扱いだったのですが、私が本気だと分ってからは非常に親切にしてくれました。食べ物の差し入れや、車や建物の貸し出しなど、どれだけお世話になったか分りません」


受賞記者会見にて

その3.ゆうばり映画祭

「これまでも(短編映画で)いくつかの映画祭に参加したことがあるのですが、国によっては『韓国? 映画撮ってるんだ』といった扱いを受けたこともあります。その点、ゆうばり映画祭は早くから韓国映画を認めてくれているところだと聞いていました。参加できただけでもうれしかったのに、グランプリまでいただけて、これからもがんばろうという決意が出来ました。受賞記念トロフィーは家宝にします」



『Mokpo, Gangster's Paradise』 鑑賞ノオト

Text by 月原万貴子(月子)

 頭の切れは抜群なれど、根性も体力もないソウルの刑事イ・スチョル(チョ・ジェヒョン)は、どじばかり踏んで仲間から馬鹿にされている。プライドだけは人一倍高いスチョルは、汚名返上のため、志願して麻薬密売ルートを暴くべくヤクザ組織に潜入することになる。赴いた先はヤクザ者が多いことで知られる港町・木浦(モッポ)だった。カルチャー・ギャップに翻弄されながらもなんとか組織に潜り込んだスチョルは、努力の甲斐あって親分ペク・ソンギ(チャ・インピョ)の信頼を勝ち得るが……


画像提供:ゆうばり国際ファンタスティック映画祭

 正直言って見るまでは「またヤクザ・コメディか。もう厭きちゃったなー」と思っていた。ところが見てびっくり。めちゃめちゃ楽しいのだ。ストーリー的に目新しいところはない。潜入刑事とヤクザの友情ものなら、香港映画『友は風の彼方に』やタランティーノの『レザボア・ドックス』などいくらでも傑作がある。しかし本作にはそれらとはまた違う魅力がある。暖かいのだ。なんといってもキャスティングがGOOD! キム・ギドク作品でのワイルドなイメージが強いチョ・ジェヒョンがへなちょこ刑事を、ドラマ界の元祖貴公子チャ・インピョがヤクザの親分を演じる妙。普通、逆だろって思える配役なのに、これが抜群にハマっている。軟弱で小ずるくてお調子者だったスチョルが、単純明快で純粋で侠気(おとこぎ)に溢れるソンギ親分と親しくなることで、内面も外見も<いい男>に変身していくさまが爽快だ。さすがチョ・ジェヒョンは上手いなあと感心させられる。チャ・インピョも映画俳優としては瀬戸際なだけに、気合の入った演技を見せている。映画マニアで、少年のように純粋に恋する親分を愛嬌たっぷりに演じて魅力的だ。上映会場ではチャ・インピョに対し「アン・ジョンファンに似てる」とか「若い頃の片岡仁左衛門に似てる」といった声が飛び交っていた。

 字幕スーパーで、木浦(モッポ)なまりを関西弁表記にしたのは映画祭スタッフのアイディアだそうだ。監督はえらく気に入っているようだった。

【評価:★★★★】


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