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『ボイス』 プレミア試写会舞台挨拶リポート



Text & Photo by 宮田浩史
2003/4/22受領

   日時:2003年4月7日(月) 18:30〜19:00
   会場:渋谷クロスタワーホール
   通訳:根本理恵

 2002年夏、本国で250万人を動員する大ヒットとなった『ボイス』が、2003年4月26日(土)より渋谷東急他にて全国ロードショーされる。公開に先駆け、アン・ビョンギ監督、主演のハ・ジウォンがプロモーションのため来日。あわせて開かれたプレミア試写会での舞台挨拶、その後の囲み取材の模様をお届けする。




 司会者に紹介され、監督とハ・ジウォンが登場。映画での凛としたジャーナリスト姿とは打って変わって艶やかなピンクのドレス姿で登場したハ・ジウォンはもとより、長身で俳優としてもやっていけそうなシャープな顔立ちのアン・ビョンギ監督の姿に、会場からどよめきが。

監督:皆様にお会い出来て大変嬉しく思っております。本日はわざわざこの場に駆けつけてくださいましてありがとうございます。

ハ・ジウォン:(日本語で)はじめまして。よろしくお願いします。わたしはハ・ジウォンです。わたしは日本語をよくわかりません・・・ だいじょぶですかー!?(笑) よろしくお願いします。

 この日のために練習してきたという日本語での挨拶に、会場からあたたかい拍手が起こる。

司会:監督、携帯電話を使うというアイディアはどこから?

監督:日本と同様に韓国でも生活手段として欠かせないものが携帯電話です。現代人のコミュニケーションの手段としてよく使われているわけですが、幽霊たちも少しその手段をアップグレードさせて携帯電話を使ってコミュニケーションを取るようになったらどうか、と考えました。そしてまた、携帯電話という身近なものが恐怖を生み出していくとしたら非常に現実味があるのではないかと思ったんです。

司会:韓国での観客の反応は?

監督:この映画の中で使われている携帯電話の番号は普段私が実際に使っている番号だったんですが、公開後、一日千件くらいのいたずら電話が掛かってきました。それほど皆さん楽しんでこの映画を観てくださったということではないでしょうか(笑)。また、映画の中にメッセージとして出てくる「私たちは愛しあう運命だ」という言葉をメールで送りあうことも一時期流行っていたようです。

司会:ちなみにもうその携帯電話の番号は変えられましたよね?

監督:今でも使っています(笑)。

 ここで司会者から、「皆さん監督にいたずら電話をかけないように(笑)」とのお願いが。

司会:ジウォンさん、ホラー映画のヒロインを演じるうえで大変だったことは?

ハ・ジウォン:普通の映画の場合には俳優に任されて100%自分の演技をするのですが、『ボイス』に限っては私が50%、監督が50%でした。観客の皆さんは私が演じる「ジウォン」というキャラクターの目つきや歩き方、行動の一つ一つを通して恐怖を感じ取っていきますので、その点を監督と一緒に協力しながら作り上げていったんです。

司会:ジウォンさんは撮影中に怖い夢をみられたそうですが。

ジウォン:私はホラー映画に出演するたびに怖い夢を見るんです。今回も撮影中に私の夢の中に一人のおばあさんが出てきたんです。そのおばあさんはそうっと私の後をついてきて「大丈夫だよ。心配しないで」と声を掛けてきました。「おかしいなぁ」と思っていると夢の中で携帯電話が鳴り、見ると番号非通知の表示でした。その後実際の携帯電話の着信音で目が覚めたのですが、ベッドの上に置いてあった携帯電話にも番号非通知の表示がありました。そして閉めていたはずの部屋のドアも少し開いていて・・・ 「怖いなぁ」と思い監督にその話をしたところ、実は監督のおばあ様が撮影中に亡くなっていらっしゃいまして、私が夢で見たおばあさんと背丈などの印象がそっくりだったんです。ですから私たちは、きっと監督のおばあ様がこの映画を助け見守るために夢の中に出てきてくださったのではないかと思う事にしたんです。本当に不思議な夢でした。

司会:ハ・ジウォンさん演じる「ジウォン」の役名の由来は?

監督:韓国で「ホラー映画が似合う女優はだれか?」というアンケート調査をしたところ、ハ・ジウォンさんがダントツで一位だったんです。そういったこともあり、このシナリオを書いている時からハ・ジウォンさんのことを思い浮かべていました。最初は違う役名だったのですが、同じ名前になっていれば出演を断れないだろうと思い、「ジウォン」に替えて印刷所に持っていきました(笑)。

ハ・ジウォン:この話、私も今この場で初めて聞きました。以前聞いたときには偶然の一致とおっしゃっていたんですがね(笑)。

 ここで、日本語吹替版で少女ヨンジュを担当した子役、久野美咲ちゃんから花束の贈呈。

 「叫ぶシーンのあと、すごい喉が痛くなりました」との感想に

監督:I'm sorry(笑)。

司会:最後に監督からメッセージを。

監督:もうすぐ夏が近づいてきますが、暑いときにこの作品を観て少しでも涼しんでいただければと思います。ありがとうございました。


囲み取材にて

Q:舞台挨拶をなさった感想は?

ハ・ジウォン:こんなに多くの方が来て下さって嬉しいですし、すごく胸が高鳴っています。気分はとても良いんですが、緊張もしています。

監督:日本は外国ではありますが韓国と似た雰囲気があるので、肩の力を抜いて楽しむ事ができました。

Q:お二人は来日は初めてですか?

ハ・ジウォン:日本に来たのは二度目ですが、『ボイス』のために来たのは初めてです。

監督:私は今回で15回目です。仕事、旅行を含めて。以前助監督をしていたときに、ミキシングの作業のために来た事もありました。

Q:映画の中で効果音が効果的に使われていましたが。

監督:作中に流れるベートーベンの『月光』などの音楽、さらには効果音まで撮影前に殆どの音響素材を作り準備していたんです。ハ・ジウォンさんには事前に効果音や音楽を聞かせて、その後演技をしてもらいました。ですから、演技と効果音の相乗効果がより高まったのではないかと思います。

ジウォン:特に携帯電話から聴こえてくる不信な音、奇声がありますが、あれを監督が現場で直接聞かせてくださったんです。この作品はホラー映画なので目の動きが大事で、目で恐怖を語らなければいけなかったんですが、監督がその音を聞かせてくれたことによって鳥肌が立つような恐怖を感じました。ですからこの映画の中の私の姿は演技ではなく、殆どがその場で感じた恐怖の現れだったんです。

Q:具体的に監督からはどんな演技指導があったんでしょうか。

ハ・ジウォン:撮影以外の時間も現場では笑う事を禁じられて、役柄に集中するようにと言われました。特に今回はなるべく瞬きをしないようにする事が大事だったんです。なかなか難しくてどうしても瞬きをしてしまうんですが、そういう時は監督が、「このシーンはこういう風な目をしてくれ」と自ら演技をして見せてくださり、それをお手本にしてやりました。監督の前作もホラー映画で(『友引忌 −ともびき−』のこと)、ご一緒しているのですが、そのとき以上に現場の雰囲気そのものを恐怖の世界に作り上げようとしていたみたいです。ただ、監督が「これが恐怖の目だよ」と私に見せてくれる表情があまりに滑稽で可笑しくて笑い出してしまうことがあり、そのたびに監督はすねていましたが(笑)。

Q:日本ではホラー映画を撮る前にお払いなどするのですが、韓国では?

監督:韓国でもジャンルを問わず、撮影に入る前に全スタッフとキャストが集まって、撮影が安全に行われるように、そして完成した作品がヒットするようにと「コサ(告祀)」という儀式を必ず行います。今回もやりました。

Q:では魔除けのお払いなどはしなかったんですか。

監督:実は逆でして、韓国の芸能界にはジンクスがあり、映画の撮影中に幽霊や亡霊がでるとその作品は大成功するといわれているんです。ですからその「コサ(告祀)」の際にも幽霊に来てくれないかなと祈ったりもしました(笑)。

Q:日本映画を御覧になったりしますか? 一緒に仕事をしてみたい俳優などは?

ハ・ジウォン:日本映画はよく観ます。たとえば『Love Letter』、『鉄道員<ぽっぽや>』、『秘密』など。個人的にはメロドラマ、ラブストーリーが好きです。俳優では『秘密』に出ていらした小林薫さんが、私よりもちろん年上なんですが、非常に愛らしい印象があり共演してみたいなと思いました。

監督:私は大学時代に映画の勉強をしていたんですが、全世界で映画を勉強している人たちというのは日本の黒澤明監督、小津安二郎監督を非常に尊敬していて、多くのことを学んでいると思います。私もそうでした。私が日本に対して親しみを持っているのもそういう映画を観ていたからではないかと思います。でも、もし日本で映画を撮ろうとしても私が日本語を出来ないのでちょっと無理かもしれませんね。

Q:日本ではホラー映画が最近多いんですが、韓国ではどうですか?

監督:去年まで韓国ではホラー映画はそれほど多くなかったんですが、最近非常に増えてきました。2003年に入って、これから公開予定のものが八本くらいあるんですね。そういった作品がどんどん成功しますと、韓国のホラー映画も発展するのではないかと思います。

Q:ジウォンさんは続けてホラー映画に出演なさり、「ホラー映画の女王」といわれているようですが、これからもホラー映画でいくのでしょうか。それとも別のジャンルで?

ハ・ジウォン:私はこの『ボイス』のあと、ニ作品に出演しているんです。一つは「セクシー・コメディ」(2002年末に韓国公開され大ヒットした『セックス イズ ゼロ』のこと)、もう一方は「ロマンティック・コメディ」(現在製作中の『人生の逆転』のこと)と呼ばれるジャンルなんですが、『ボイス』と同様、韓国では非常に良い反応を得られました。『ボイス』の公開が終わった後はそれらの作品でまた日本を訪れたいなと思います。ホラー映画にも出たい気持ちはあって『ボイス』に負けないくらいの素晴らしい作品に巡り会えればまた出演したいですね。

Q:現在、日本の携帯電話は、動画を送れたりするのですが、韓国の携帯電話事情は? 動画などの機能を利用した『ボイス2』のアイディアは浮かびそうですか?

監督:韓国では、最近携帯電話でテレビも観られるようになっていますし、「モバイル・ムーヴィー」というジャンルが確立されて、携帯電話専用の映画まで作られています。そういった状況から『ボイス2』ももちろん考えられると思いますが、それはおそらく私ではなく後輩の監督が撮ることになるでしょう。

Q:もし『ボイス2』のお話が来たら、ジウォンさんは出演しますか?

ハ・ジウォン:『ボイス』以上に怖い映画だとしたら、出演してみたいと思います(笑)。

Q:最後に日本のファンに一言。

ハ・ジウォン:今回、『ボイス』が、韓国で成功を収め、日本でも公開していただける事になり、私もこのように日本に来る事が出来てとても嬉しく、また緊張もしています。この作品が日本の多くの方に気に入っていただければいいと思いますし、公開していただける事自体、光栄に思っております。そして次の作品でも日本のファンの方にお会いしたいと思います。どうかこの作品を楽しんで観てください。(日本語で)ありがとうございます。


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